義眼の“はめ外し”は、患者さんにまずおぼえていただかなければならない大切な“作業”の一つです。以下は、一般的な“出し入れ”のやり方ですが、症例や状況などにより、必ずしもこれと同一に着脱しなければいけない、ということではありません。要はご本人が一番はめ外ししやすい方法を、いち早く修得されることが大切なのです。
 ではまず、図に従って“はめ方”の解説よりはじめましょう。(はめ外し共右眼の例)

はめ方

(1)上眼瞼をもち上げる
 まず義眼の“上下”を正しくおぼえ、左右の両端を右手に持ち、“人さし指”と“親指”でしっかり保持する。
 次にもう一方の手で上眼瞼をなるべく上にもち上げる。この時、視線は極力下方を見るようにする。
片方の手の人さし指で上眼瞼を、なるべく上へもち上げる。この時視線は下を見る。

(2)落ちないよう保持する
 次に、義眼の上端を上眼瞼の内側に、なるべく深く入るように挿入させる。
 この時、上眼瞼が、義眼を押し出そうとする力が働くことがあるから、場合により、押し出されないよう、手で義眼を保持する。
義眼の上端を上眼瞼の内側にいれ、半分程入れば落ちないよう上から保持する。

(3)下眼瞼をおさめる
 (2)の動作が終るとすぐ、今度は下を向いていた視線を極力上に向ける。と同時に下眼瞼を下におし下げるようにして、義眼の下部をおさめる。高齢者などで、うまく出来ない場合は、専用の「スポイト」を使うと便利である。
視線を上に向け、同時に右手の人さし指で下眼瞼を下げて下端をおさめる。

外し方

(1)外す時も、上眼瞼をもち上げる
 外す時も、はめる時の要領と同じように、上眼瞼をなるべく上にもち上げる。そしてもう一方の手の“人さし指”で下眼瞼をおさえる。

(2)視線を上に向け、指をおしこむ
 視線を上に向けたまま、下眼瞼から指を“おしこむ”ようにして義眼の内側に挿入する。この時は人さし指を使い、内嘴部から外嘴部の方へこするようにすると、指が中に入りやすい。通常外す方が、はめる方より難しく、困難な時は専用の「スポイト」を使うとよい。
片方の手で上眼瞼をもち上げる。
視線を上に向け、もう片方の手で下眼瞼の端を、義眼の下におしこみ持ち上げる。

(3)視線を下に向け外す
 下部が外れたら、視線を下に向けると、ポロリと外れる。この時、義眼を床に落とさないよう注意する。あやまって床に落としても、破損することはないが、転がって見つかりにくくなる。
下が外れたら視線を下に向けると自然に外れる。この時落とさないよう注意する。

小児のはめ外し

  小児に対する“はめ外し”は、成人に比べきわめて難しい。新生児を含め、幼児、小児の場合、殆どが泣き叫んで大あばれします。
  この時のはめ外しは第三者に頼るしかありませんが、できれば御両親などに早く修得してもらう方がベターです。はめ外しは二人で行います。まず小児の両足を拡げ、介補の両脇に挟むようにして術者のヒザ上に寝かせます。あとは介補が頭をおさえ、術者がはめ外しを行うことになります。